http://www.jnews.com/kigyoka/2006/009.html?gclid=CPr7qv-L3ZwCFYctpAodfCeIIw
書店でいま人気カテゴリーとなっているのが「セミリタイア」に関連した書籍である。セミリタイアについての正確な定義は定かではないが、何らかの経済活動を通して安定収入を確保しながら悠々自適の暮らしを実現させることを表しているようだ。「金持ち父さん貧乏父さん」の著者であるロバート・キヨサキ氏が考案した「キャッシュフロー」というボードゲームが巷では人気だが、このゲームの主旨は、給料のために懸命に働く人の生活を“ラットレース(ねずみの競争)”と表し、最初は各プレーヤがラットレースを回りながらも、徐々に株や不動産、事業への投資活動による不労所得を増やして給与所得に依存しない感覚を身につけさせようとするものだ。
給料のために懸命に働く生活を軽視するわけではないにしても、勤務先の会社から支払われる給与収入というものが、現代では非常に危うい存在になっていることは事実だろう。月々の生活費を“給与”のみに頼ることは職を失った時や、高齢になるほど自分の体力(労働力)が落ちてゆくことを考えればリスクが大きい。自分の人生を平均寿命まで全うしようとすれば、会社から支給される給料のみに依存した生活には大きな不安がある。そこに気付きはじめたのがセミリタイアを目指そうとする人達である。
その一方で、近頃では「職に就くこと」を拒否する「ニート」と呼ばれる若者が増えている。学生でもないし職にも就いていないニートの数は、現在で87万人にも達している。これは15~34歳人口の 2.7%に相当する規模で、政府もニート対策事業として彼らに対する職業訓練や就職支援サービスに予算を組み始めた。ただしその支援策が、彼らの「なぜ働かないか」という本質を突いているかは疑問だ。
一見して「セミリタイア」と「ニート」は対極にある人種と捉えがちだが、本質的には「これまでのような会社や組織を拠り所とて生きたくない」という共通した価値観を持っている。終身雇用の時代が崩れて、会社に依存しない生き方が求められる世の中では、ニートとなる若者が登場してくるのも必然といえるのかもしれない。現代では、ニートに限らず、雇われて生計を立てるといういわば社会人の“本道”から一見外れているようにみえる新しいライフスタイルが続々と生まれている。
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